《腰痛の話》


 腰痛とは長い付き合いで、もう十年以上にもなる。腰椎側弯から来る坐骨神経痛というヤツだ。腰部の痛みから始まり、年月を経ると、それが徐々に脚の方まで降りてくる。お尻のアナの奥の方が痛くなったりもする。

 慢性痛というのは、それ自体が患者を死に至らしめるものではないが、行動を制約しメンタルにも負荷をかけることで、生活の質を著しく低下させる。ツンドラも、数分間立っているだけで腰がパンパンに張ってくるので、日常の作業(台所仕事だのお洗濯だの)のほとんどを、椅子に座って行っている。
 そんな生活からどうにかして抜け出したいと思い、これまで整形外科はもとより、モロモロの民間療法も試してみたが、どれも長続きしなかった。

 慢性痛に対して、整形外科はあまり役に立たないと思っている人は、結構多いのではないか?画像診断の後に、痛み止めと湿布薬が処方され、リハビリを勧められるが、いずれも痛みの原因を根本から取り除くものではない。根治しようと思ったら手術を受けるしかないが、それも100%の改善を約束するものではないらしい。
 リハビリでは、機械で腰を引っ張られたり、ウォーターベッドで全身をマッサージされたりする。確かにキモチはイイが、所詮その時だけのことだと思うと、通うのが億劫になり、徐々に足が遠のく。

 ブロック注射に望みをかけて、ペイン・クリニックにも行ってもみたが、ワタシには全然効果がなかった。あれは、打つ場所を特定するのがなかなか難しいらしい。施術者のセンスと経験がモノを言うのだろう。

 整体、鍼灸、カイロプラクティックなどの民間療法も、一通り試してみた。その結果、どうも自分はああいった手技系の治療法が苦手らしいということを知るに至った。だって、フツーに考えて、見ず知らずの他人に直ではないにせよカラダを触られるなんて、イヤじゃないですか。
 ツンドラは、スピリチュアルの世界には興味がないが、それでもヘンな人に触られると、“悪い気”をもらっちゃいそうで怖いのだ。山本リンダの歌に、「世界一のオトコだけ、この手に触れても構わない」という歌詞があるが、まさにそんな感覚だ。
 街を歩けばこの手の治療院が乱立していて、どこを選べばよいのか判らない。チェーン店、チケット制はとりあえず避けたいとは思うが。高い技術とコミュニケーション能力を持ち、人格的にも優れた施術者なんて、そう簡単に出会えるものではないだろう。医師についても、同様のことが言える。やはり、口コミが一番かとも思うが、“相性”というものもあるので、なかなかに難しい。

 運動ギライのツンドラだが、ピラティスの個人レッスンも受けてみた。“体幹を鍛える”というアレだ。
 最初の30回くらいはインテンシブにやった方が効果的と言われ、週3回、片道1時間かけて通ったのがいけなかった。治りたい一心で、自分が並外れて根性のない人間であることを、忘れていたのだ。10回を越えたあたりで、通うのがツラくなって挫折。ペースダウンしてもよかったのだが、通い疲れで腰の痛みも悪化してしまったので、先生にゴメンナサイしてやめさせてもらった。

 あと、変わったところでは、脚のツボに電極を当てて、脳の視床下部を刺激することで痛みを取り除くという、怪しげな治療法も試してみた。
 隣町の整形外科が保険外診療でやっているのをウェブで見つけて、一か八かで行ってみたのだが、棒状の器具を脚にグリグリと押し付けられるのが痛くて、閉口した。痛い割に、脳にはなんの作用感もない。ジィ〜ンとシビれる感じとか、期待していたのだが。
 保険外だから当然、治療費はものすご〜く高いし、そのクセ症状は全く改善しなかったので、3回通った時点で見切りをつけた。

 以上、ザザッとツンドラの腰痛治療遍歴を綴ってみたが、そうこうする間にも、下半身の状態は着実に増悪している。5年後、10年後に自分がどうなっているかと思うと、ヒジョーに不安だ。最終手段として、外科手術という手があるが、先にも述べた通り、それで完全に治癒するとは限らないものらしい。側弯矯正についても調べてみたが、中世の騎士の鎧みたなコルセットを着けねばならないようで、文字通り腰が引ける。

 せめていま以上悪くならないために、ツンドラが行っているのが、“自己流ツボ押し”だ。やり方は極めてテキトーで、ゴロッと横向きに寝っ転がって、拳で腰やお尻をグリグリ押すだけだ。背中や肋骨の周辺にも痛いところがあったりするので、そこもついでに押してやる。これだけで、固くなった筋肉がほぐれて多少はラクになる。
 あと、足のツボ押しも、ヒマさえあればやっている。足を両手で包みこんでモミモミしたり、ふくらはぎ、膝周り、大腿骨の内側・外側などを、部位に応じて指でモミモミ、拳でグリグリを使い分けながら刺激してやる。ツンドラはたいてい、YouTubeを漫然と見ている時にこれをやるのだが、下半身の血流がテキメンに良くなって、冷たかったつま先がポカポカしてくるのが分かる。
 別に、中医学の定めるツボの名前など知らなくても、ただ、イタキモチイイ場所を、気の済むまで押してやるだけでO.K.。人様にやってもらうより確実だし、通う手間もおカネも掛からない。まさに、ぐーたら者のツンドラにピッタリの健康法だ。


2023. 11. 23  Tundra